渋谷ジァンジァン(小劇場)
ミヤギサトシショー「蟹は横に歩く」作.宮沢章夫(遊園地再生事業団)、演出.平田オリザ(青年団)、出演(一人芝居).宮城聰(ク・ナウカ)於.渋谷ジァンジァン
カニカマ
「みなさん火は赤いと思ってるでしょ。
GOLDなんです。本物は。」(作中の台詞)
ぼくはこの舞台のお手伝いがきっかけで宮城さんや天井桟敷の牧野公昭さんらと出逢ったのだけど、宮城さんは東京大学美学科出身で、教授(坂本龍一)のように「体系的な美の理論」を学んでいるので「なんちゃってビューティー」とは足腰が違う。コロナ禍での「カニとカニカマ/電話とZOOM」の喩え話にしても、蟹が横に歩くことについて徹底的に演じた経験があるから純度が違う。単なる思いつきの引用とはね。
美加理(演劇「王女メデイア」)
小劇場の観客は、小劇場演劇をやってる人がマグロの回遊のように地産地消で循環しているというけど本当にそうで、暗転と同時にその視線が舞台に注がれる。そして巨大な蜻蛉の複眼のように集合的イマジネーションを紡いで行く。だから自然と自分の審美眼が2倍にも3倍にもなる鑑賞の稽古場でもある。
日本人の瞳の色は草刈正雄が言うように「ダークアイ(黒い瞳)」なのだが、ク・ナウカで宮城さんが美加理さんの人形振りの演出をする時の目を隣の至近距離で見たことがある。
五条悟の六眼
こういう色をしていて息を呑んだ。漫画家の吉野朔実が「あなたに返される他者からのメッセージは、あなたの中に内在するものである」(少年は荒野をめざす)と言っているから、ぼくの中にも演出用の審美眼が多少は備わっていたのだろう。それでもその美意識や恥の意識は常に磨いていないとすぐに曇って鈍化し、慣れてしまう。慣れてしまう方が楽なんだけど、もったいなくてね。
ルパン三世とゴート札のイワノフ
さて。どうなることやら生成カニカマAI。