セカンド・ファミリー

水島新司あぶさん

介護の仕事をしていると、求人広告や施設のパンフレットには「いつも笑顔で家族的な職場です」というフレーズばかりなのだが、毎月数十軒の家族の訪問をして困り事を聞いていると「家族的ねえ...」と警戒してしまう。

長寿漫画「あぶさん」の「居酒屋 大虎」は景浦安武にとって第二の家族のようなアジールなのだが、常連客は余計なことは聞いてこないし、推しがやりがちな忠誠心競争の批評やコーチまがいの事もしない。だから落ち着けるんだろうけどね。

上野千鶴子

彼女の代名詞である「おひとりさま」はおそらく、以前どこかのお店に入った時に「お一人様ですか?」と尋ねられてカチンと来たのだと思う。「彼氏も女友達もなく、ぼっちですか?」と、恥を刺激されてカウンターパンチを昇華させたものだろう。

秋葉原AKB48劇場

ここは「本人に会えるアイドル」がコンセプトだから、思春期の男の子達はここに「疑似恋愛」をするために出かけていった筈だが、上野千鶴子の「おひとりさま」の骨法は、上記の「あぶさんの大虎」のような女一人で飲みに行っても、あわよくばで口説きに来る客や酔ってだらしない姿を見られても平気なセカンドファミリーを求めていたような気がするんだけどね。前述で「恋愛対象ではない」と書いたのはそういう事。なのである。

南果歩

村治佳織

それならそれで、自分が求めている物が人気や金や恋愛ではなくて「落ち着ける居場所なんだ」ともっとしっかり自覚できていれば別のアプローチがあったと思う。

神輿に乗っちゃうとなかなか出来ない事だけれど。ならば神輿など降りてしまえばいい。

「それ以上はストーカーです。」とはっきり言える強さを維持したままで。