プロパガンダー ②/偽旗作戦

ニューズウィークより引用

ダライ・ラマ小児性愛者」 中国が流した「偽情報」に簡単に騙された欧米...自分こそ正義と信じる人の残念さ。

2023年6月1日(木)18時02分
マグヌス・フィスケジョ(コーネル大学准教授、人類学)
チベット弾圧から世界の目をそらすため、欧米の無知と偏見に付け込んでダライ・ラマを炎上の的にさせた中国と、見事に引っかかった世界>

チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世に対して4月8日、世界の主要なSNSで新たな中傷キャンペーンが開始された。

と言っても、それだけなら今に始まった話ではない。抗中独立運動が拡大した1959年のチベット動乱以来、祖国を脱出したダライ・ラマは隣国インドで亡命生活を送っている。今もなおチベット人には敬愛されているが、中国政府はダライ・ラマの写真を所持することも禁じている。そして一貫して、ありとあらゆるメディアで誹謗中傷を続けている。

今回もまた「メイド・イン・チャイナ」の偽情報なのはほぼ間違いないが、不愉快な新手法があった。ダライ・ラマを、なんと小児性愛者に仕立てたのだ。しかも欧米諸国をはじめとして、世界中で膨大な数の人々が、この偽情報にあっさり踊らされた。昔ながらの偏見と無知に、SNS時代の短絡的で独善的な思考が重なった結果と言える。

▶ 生成AIはもっと巧妙なんだろ。