辞書の序文を詠む

A辞書(三省堂

▶ 第七版  序

「絆」という言葉を最近よく耳にする。これは、あの三月十一日の東日本大震災で被災された方々の口から発せられるものである。

 

一方、近年の若い世代にみられれる社会的な風潮──少数の言葉に多義的な意味を負わせ、何ごとによらず、「すごい」「ヤバイ」などで済まそうとする──をみると、生活様式が画一化し、行動形態がマニュアル化されたかのような時代になったからだなどと、暖気(ノンキ)に構えてはいられない衝動に駆られる。

讃岐うどん

ちばてつやあしたのジョー

▶ 例えば、「.....かもしれない」という一種の推量判断を表す形式について、外国人に日本語を教える教師の中には、ある事柄の実現する可能性がフィフティフィフティであるなどと説明して事足れりと安易に信じている者もいるが、これを確率が五十パーセントだなどと解したら、とんでもない誤りである。

杏里「オリビアを聴きながら

▶ 単に、ある事柄の実現する可能性を否定できないと言っているだけで、確率の問題としてみれば、ゼロに近い状態から九九パーセントを超える場合まで、幅広く用いることができる表現形式であるといったことを説明している。

グレープ「フレディもしくは三教街」

▶ 「.....なければならない」と「.....なければいけない」の違いや、「見える」と「見られる(可能)」、「聞こえる」と「聞ける」の異同などについても適切な説明をほどこした。

矢口高雄釣りキチ三平

▶ 何はともあれ、本辞書が江湖の迎えるところになることを期待してやまない。

(2011.11.1  倉持保男)引用。

▶ 486頁 「江湖」

ではまた。

ベルばら