学者とプログラマーの真の野心は不老不死

スプリンターの水沢裕子(小山ゆう

映画「熱海殺人事件」(つかこうへい)

ビルの屋上で人質を盾に猟銃を持って立て籠もる男。二階堂伝兵衛(仲代達矢)が拡声器を手に説得・挑発する。

「お前は完全に包囲されている!」「うるさい!黙れえ!」「早く降りてこないとここにいるお前の女房を脱がすぞ!」「やってみろお!」「あんた、もうだめだよ。諦めなよ」

と、言うが早いか自らそそくさと服を脱ぎ始める女房。▶ 昭和のポルノ女優とトルコ嬢のリアルなスーパーバッドがこれである。

犯人が叫ぶ。「俺が悪いんじゃない。マルクスが悪いんだ!」

浦沢直樹

テレビ番組「漫勉」で若手の同業者に言う。「紙とペンで書いた漫画が、100億円かけた映画より読者の心に残るのって結構すごいよね」

結城光とジャック・スペンサー

結城コンツェルンの総帥の座を捨てて100m走のスプリンターになる事を選んだヒカルの動機は「巨大企業を動かして世界に影響を与える事よりも、自分の体一つで、この地球上で最も速い男として歴史に刻まれる方が偉大で尊い」という比較優位に基づくものだった。アマゾンのジェフ・ベゾスが「私は商売人ではない。発明家だ。」と言っていたのも相似形の感情だろう。

筒井康隆「エディプスの恋人」やドストエフスキー地下室の手記」のように、作家には宇宙や装置と融合して永遠に名前を語り継がれたいという欲望がある。

ハウルの城のカルシファー

学者とコンピュータープログラマーにも同様の「不老不死の夢」があるんじゃないかな。

腐海で遊ぶナウシカ