気枯れ(ケガレ)の新機軸/病院食と生成AIアルゴリズム

東海林さだお(漫画家)

アイスキャンディーの「ガリガリ君  梨味」の評論など、B級グルメとしても有名な四コマ漫画の巨匠が、少し前に大病を患い入院治療した。

曰く「僕は大概の食べ物は好きなんだけど、病院食だけはダメだなあ。なんであんなに味気なく作れるんだろう。ある意味すごいですよね」とのこと。

東海林さだおB級グルメ漫画

大食漢の煉獄杏寿郎

介護用ベッドとポータブルトイレ

▶ トイレというのはカタカナ英語であって、昔は

(管清工業のサイトより引用)

▶ ご不浄(ごふじょう)
排泄物は不浄なもの(=汚れたもの)であるとされることから、用を足す場所のことを「不浄・不浄場」と呼びました。この呼び名に「ご(御)」をつけて丁寧語にしたもので、特に女性が多く使用する言葉です。

▶ 憚(はばかり)
はばかるというのは差し障りをおぼえてためらう。気がねする。という意味です。 用を足す場所へ行くという行為は堂々と宣言するものではなく、人目を憚るものなので、「憚り=はばかり」と言うようになりました。

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▶ 介護業界に長く勤めていると、およそ要介護3以上の重度で、ベッド上でオムツ対応せざるを得ない状況に比べて、ポータブルトイレで排泄ができる方が格段に衛生的なのだが、寝室や仏壇のある部屋にポータブルトイレを置くのを嫌う人や家族は多い。これは、

波平恵美子「ケガレ」

▶ 漢字にすると「穢れ」「不浄」の文化人類学的な観念があるからだと思う。

・上記の「学術文庫版まえがき」より
本人の民間信仰に深く浸透していた「不浄」の観念とは?

民間信仰において、ケガレを祓う儀礼は頻繁に多様な形で行われていた。

人間の不幸は、ケガレ=不浄に原因があると考えられ、生活の隅々にまでその指標が浸透していたのである。

死=黒不浄、出産・月経=赤不浄、罪や病、境界・峠という空間等、様々な民俗事例にあらわれたケガレ観念の諸相を丹念に追い、信仰行為の背後にあるものを明らかにする。

文化人類学では、人間の文化は自分たちを取り巻く世界を構造化するものであるとする。その構造は、その文化を担う人々によって明示されている。

それとは気づかぬまま、人々はその構造に従って認識し行動する。

優劣を付けたり、差異化さらには差別したり、グループ分けしたり、強い関係、弱い関係を結んだり、関係を結ぶことを拒否したりする。

少くとも、1980年代までの日本文化では、世界を構造化する大黒柱にケガレという指標を用いていたといえる。
ケガレは差異化のもっともわかりやすい、そして、時には感情に訴え、身体反応までも引き起す強い指標であった。

マトリックス

▶ 「デジタル技術や生成AI」は、紙のゴミも出ないし便利ではあるけど。

衛生的という点ではこの上なく清潔で、カロリー計算された「病院食」と、似ている気がしませんか?

電子音楽やお受験勉強がすぐに飽きて、気が枯れてしまうように。

▶ 病院はホテルではないので、ソレを承知で作ってるんだけどね。

ちょっとじっくり考えよう。