アルバムを一枚通して聴いてみようぜ

佐野元春「No Damage」

詩を書いたり、タイトルや見出しやキャッチコピーを作る時には、言語に象徴化を施すものだが、機能的な条件として「その内容のすべての個別に対して普遍性があること」。「万能細胞(iPS細胞)のようにどの曲にも馴染むこと」がある。

そういうものはさほど多くはなく、現実社会でいえば「貨幣」や「愛」などありふれたもの故に「遍在する」ということなのだが、祝詞のレベルに格上げするのは難しい。

コンセプト・アルバムのように力まなくても、自分で曲順と過不足を考えるだけでもスジは通る。

クラッシュみたいな離れ業ばかりじゃなくて、それが音楽に参加するということなんだけどね。

アナログレコードと違って、A面B面なしで通しは長いけど、名盤にはある時点でスイッチを止めて、珈琲を淹れてタバコをふかしたくなるピリオドがちゃんとある。

一手間かけるだけだが、その時間、作品を受容して吸収する間のなにもない時間が大事なのである。

「鑑賞」にとって。