なぜこのエピソードが話題になったのか。

大河内一男(1964年の東大総長)

Wikipediaより引用)

「肥った豚になるよりはやせたソクラテスになれ」

東大総長時代、1964年3月28日の卒業式における式辞で

「いくら東大卒だからといって、エリートとして人生を生きてはならない、太った豚より痩せたソクラテスになれ。」

と訓示したという話が流布されている。

ただし、この発言は予定稿にはあったが、実際の式では読み飛ばされてしまっており、にもかかわらず草稿を入手したマスコミによって、大河内の言葉として広められてしまったものという。

原文はジョン・スチュアート・ミルの引用であることを明記してあり、文章も異なるものであった。

この一文はミルの『功利主義論』の「満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよい。

満足した馬鹿であるより、不満足なソクラテスであるほうがよい」という一文を、不正確に引用したものと考えられている。

当時は新聞の夕刊に間に合わせるため、東大総長は式辞を事前に原稿化しておき、そのプリントを記者に配布する習慣になっていた。

ところが、大河内が実際には当該箇所を読み飛ばしていたにもかかわらず、新聞各紙は配布された原稿をもとに記事をまとめた上、当該箇所を見出しに用いた新聞もあった(つまり誤報である)。

大河内は4月15日付『朝日新聞』朝刊に一文を寄せ、実際には読み飛ばしていた事情を明かした上で、「多少きざっぽく思われ出したので、結局告辞のなかで引き合いに出さないでよかったような気がしている」とコメントしている。

大河内自身は、読み飛ばしは意図的なものではなく、写真のフラッシュやテレビカメラのライトのせいで目がチカチカしていて読めなかった、と釈明している。

しかし、石井洋二郎はこの説明について、当該箇所は原稿の後半であり、その時間までフラッシュが頻繁に焚かれ続けたとは考えにくい上、フラッシュで読めないのは一瞬だけなので少し待てばよく、また、原稿を読めないほどライトがきつかったとすると、なぜ他の部分は読み上げることができたのか説明がつかない、と疑問を呈している。

..........

▶ それが民意の本音だったからなんじゃないの。