太田裕美「ドール」
♪横浜生まれのセルロイド/心がないからセルロイド/名字も変えずに暮らした部屋で/涙で瞳が青く染まった/ドール、ドール、よこはま・どーる...
♪プイと横向いて出ていったきり/あなた夜明けまで帰らなかった/窓の人形を話し相手に/一生結婚はしないと誓う...
▶ここに呪いが埋まっている。
主語が抜けているのである。
♪なんにも知らずに乗せられたのが/不幸の船だと気づいて泣いた...
赤いハイヒールを履いた「窓の人形」は幼少の頃から大事にしていた物なのだろう。紙に鉛筆で自問自答するようにアウティング(カミングアウト)する道具で、子供がよく「一生のお願い!」と強調の形容詞としての「一生」が、詩歌・大衆歌謡によるバーナム効果で「契約のレベル」に引き上げられてしまっている。
端折らずにきちんと説明すると「プイと横向いて出ていったこの男とは結婚しない。別れる。逃げる。」という意味である。
だがさすが名匠松本隆。ちゃんと助け舟も用意してある。
よこはま・どーる ▶ はっぴいえんど