対話型生成文学 ② 私のノージアン・ウッド

小説「ノルウェイの森」の日本の巡礼地

ビートルズラバー・ソウル」の『ノルウェイの森

村上春樹

若い頃の失敗作を書き直した2023年新作「街とその不確かな壁」

書店

TOKYO−FMスペイン坂スタジオ

もしもし。電リクいいですか?/はい。いいですよ/佐野元春の「サムデイ」をお願いします。

♪若すぎて何だかわからなかった事が/リアルに感じてしまうこの頃さ...

あ、それと先生いますか?/は?/村上春樹先生。今そちらにいるでしょ/あの...失礼ですが何処のどなた様ですか?/俺だって言えばわかります...

南果歩

のん

村治佳織

もしもし/あ、どうも先生。はじめまして/今スパゲティを茹でてるんだけど何か用かな/新作の「街とその不確かな壁」の出版おめでとうございます/いえいえどうも/先生は大江健三郎に嫌われて文壇のアウトサイダーだった自分を支えてくれたのは読者のみなさんだと仰ってましたよね/はい。その通りです/私はケアマネをやっているんですが、可哀想なヤングケアラーが先生の「ノルウェイの森」のキュウリを食べさせるシーンでティッシュ1箱分泣いちゃったって言ってました/...../それから彼女は先生の小説を図書館で借りてきて読むのが唯一の楽しみになったんです/それは光栄ですね/その彼女が昨日死にました。首を吊って/何かあったんですか/ノルウェイの森のラストで主人公のワタナベ君と施設入居者のギター弾きのレイコさんが、直子の葬式代わりの弔いの演奏会のあとでやっちゃいますよね。あれがどうしても許せないっていうんです。でも私は貧しいヤングケアラーだから憧れの村上先生に「あの部分を書き直して下さい」とは畏れ多くて言えないので死にます。というメールが来て慌ててて緊急訪問したけど間に合いませんでした/申し訳ありません.../いえ、誤解なさらないで下さい。彼女は実は白血病で余命いくばくかもなかったのです。生きている間に先生の本に出逢えてよかったと感謝していました。失礼しました。聞く耳を持っていただきありがとうございます。マラソン。がんばってください。では。

公衆電話

原生林