補助線松竹梅/批判と演出

小林秀雄

のん「PURSUE」

▶ そもそも「近代的自我」というものは意外と歴史が浅い。聖書にしても日本で概ね一般に理解されているのは「標準語の表記」であって「ガリラヤのイエス」の地域密着型の方言で意訳した実験小説があるが、トーンと印象が違ってくる。

文藝春秋が推している「おらおらでひとりいぐも」(若竹千佐子)の受賞の意味もそうでしょう。身近な例では

大谷翔平WBCでのこの名言も標準語で話している。「都市化」が進んだ日本では「そんなの常識」と、意味で理解してしまうけど、大谷は今アメリカで生活と仕事をしているので、岩手弁で話してもアメリカ人には見分けがつかない筈なのだが、代表チームの大黒柱なので標準語を使ったのでしょう。

▶ これをソフィスト風に、或いはガンダムのブライトさん風にアレンジすると

「何を言うか、東京に憧れているお前が何を言うか!」とディープ・ラーニングで掘り下げることもできる。

原田知世「守ってあげたい」

これは松任谷由実の曲で直訳すると「守ってください」「守ってやってください」で

映画「眠らない街   新宿鮫

俺はよう。お前を守ってやりたいんだよ。

守ってほしいだろう。俺に守ってほしいだろう。

守ってほしいって言え。

奥田瑛二真田広之の名演のアレンジ)

こういう効果を「あざとくない」形で表現できるのが原田知世の天賦の才なんだよね。

松田聖子が避雷針になってたから「かわいこぶりっ子」とはディスられなかったし。

原田知世「ロマンス」

そして歳月を経て大人の女と少女のアンビバレントな自我の表現で、クランベリーズアイルランド)や北欧風のテイストを混ぜたこの曲はなかなかよかった。

映画「Wの悲劇」で薬師丸ひろ子が「アイドルではなく、映画女優」のルビコン川を渡った時を思い出した。

▶ でもこの後のアルバムの展開の仕方は低空飛行だった。「標準語で話す大谷翔平」みたいに、企画路線の自己模倣のダビング感で聴かなくなってしまった。

AGFの「カフェ・オレは得意なんです」のCMはよかったけどね。

原田知世「リセエンヌ」(作曲は坂本龍一

並べ方を変えてナッジ理論を応用すると

①松:守ってあげたい...1万円

③竹:リセエンヌ...3.000円

②梅:ロマンス...1.000円

▶ でもこの値付けは地域性と文化の嗜好性にもよるので適当に。

阿久悠

どうでしょう先生。売れますかね。

▶ 売れますかじゃなくて売るんだよ君。