少年は何故、大志を抱かなければいけないのか

クラーク博士の銅像(さっぽろ羊ヶ丘展望台

矢沢永吉は少年時代に、自分の持ち物には必ず「BIG 矢沢」と書いていたらしいけど、まあ自分自身の過去を振り返っても、巨人軍に入ってハイジャンプ魔球を投げてみたいとか夢は大きかった。

ネットで調べていたら、クラーク博士の有名なフレーズの全文を見つけた。

「Boys, be ambitious like this old man」

「この老いた私のように、あなたたち若い人も野心的であれ」

大志を抱いていたのはクラーク博士本人だったみたいだね。教師の本能というか。

フロイト親子の防衛機制/ヴァイラント分類 レベル4。成熟した防衛/Wikipedia

▶ 同一視(Identification):
自分にない名声や権威に自分を近づけることによって自分を高めようとすること。

他者の状況などを自分のことのように思い、感じ考え行動すること。

この同一視は他人から他人へ伝染する。

勇者ヒンメルと葬送のフリーレン

まだ働いていない青少年少女達は、思春期でもあるし、精神的な支柱や憧れがないと「未来という不確定要素」へのアイデンティフィケーションが上手く出来ないのかもしれない。

芥見下々が「五条は呪術界の御三家」という設定にしたのも、Eveやなとりが

「(未来に)僕に居場所なんかないから」

「ここが僕らのターミナル。終わらない逃避行をあなたと」

等の太宰治願望を歌っているのも、同一視機制をする神話的存在が少なくなってるからでしょう。

▶ その意味では受験戦争で一流大学に入って賃金の高い会社で出世する事は、努力は嘘をつかないというので、比較的確度の高い安心獲得路線ではあるけど、ピラミッド型の競争とプレッシャーがかかるし、ピラミッドの下部構造に落とされたら劣等感に苛まれる。

最強主義者の鹿紫雲一

介護の歩行介助の風景

▶ 介護を題材にしたドラマやコンテンツが、僕にとってあまり面白くないのは、

「逆境をはねかえして最強の笑顔でありがとうでした!」というナラティブの重力装置につかまってる物が多く、一仕事してタバコを一服する程度の自己満足の喜びとか、そういう薄ぼんやりしたデリカシーが、Ambitiousの強い照明で消えちゃうからなんだよね。

規模の経済の発想で「夢は大きく1万人を介護してみよう!」なんて言われたら「何いってんだよ冗談じゃねえよ。30人で目一杯だよ。賃上げもないし。」と思うでしょ。

社会情動的選択性理論のイメージ図

規模の経済ネイティブで財を成してきたビジネスマンにとって、僕が感じている地域密着型経済循環の必要性は、物足りないだろうし、経済的正義ではないと違和感を持つかもしれない。

それでも、社会保障も含めて「富」の再分配が効率よく機能していない状況では

「無理なものは無理」と自分の人生を大事にする他ない。

神宮外苑を心配する教授(坂本龍一

メタファー(暗喩)でしょう。外苑は。