哀愁のシンフォニー

スペイン映画「ミツバチのささやき」1973年

フランシスコ・フランコによる独裁政治が終了する数年前に製作されたこの映画は、その独裁が始まるスペイン内戦の終結直後の1940年を舞台とし、内戦後の国政に対する微妙な批判を匂わせている。
内戦により分断された夫婦と若き後妻それぞれの抱える苦しみ、子どもたちはそんな状況下でも純真さを保ちつつ成長して行く。(wikipedia

子供がかわいいのは体が小さく力も弱く、経済的に自立もしていない弱者が生き残る生存本能でもある。政争の具にされることもあるけどね。

なので女性のジェンダー闘争で「優秀で自立した強い女性」を目指すのは大いに結構なんだけど「男は度胸。女は愛嬌」の「愛嬌と攻撃力の交換」をしてしまうのは、戦車とジャベリンを物々交換するようなもの」だと思っている。

アナ・トレントの「純真というより従順」な存在感は、検閲や言論弾圧がある国情の中での「飾りじゃないんだぞ」というビクトル・エリセ監督の生存戦略でもある。

こんな小さな子供でも道端で野ざらしになった死体を日常的に見てしまうのが戦争の残酷さなのだろう。

♪もう行かないで/そばにいて/窓のそばで/腕を組んで/雪のような星が降るわ/素敵ね...♪もう/愛せないと言うのなら/友達でも構わないわ/強がっても/ふるえるの/声が.....(薬師丸ひろ子Wの悲劇」)