成長の目印

雑誌「キネマ旬報」2019.10月号

表紙「月はどっちに出ている」

この映画は、タクシーの運転手が道に迷い、困り果てて公衆電話から会社に電話すると「月はどっちに出ているんだ!」と助言されるというだけの映画なのだが、「キネ旬」が1990年代のベストテンとして表紙に採用するくらいだから、僕の鑑賞力の方が未熟なのだろう。雰囲気だけでも楽しめるけどね。

頭でっかちに考えると、方向を見失った時にポラリス北極星)を目印にするのは遠洋漁業の人くらいで、24時間営業のコンビニやネオンライトやクルマのヘッドライトで夜でも明るい都市部で、2等星の明るさの距離にあるポラリスを見つけるのは至難の業だ。

だから大衆芸術・芸能は、「月」のように誰でも見分けのつく指針を持つのは大事なことだと思う。

趙孟堅『歳寒三友図』、13世紀。
三友図は日本の松竹梅のルーツだが、もともと「おめでたさ」を表すものではなかった。

▶ 「ランキングではない松竹梅」を改めて考えると、ウグイスがとまり木にするような花をつけるのは「梅」だけなんだよね。この三者択一では。

これは文脈の「起承転結」や「序破急」のように「松 ▶ 竹 ▶ 梅 ▶(音楽)▶ 杏里」というエチュード(演劇用語)が作れるかもしれない。

月影千草(初代 紅天女

美内すずえガラスの仮面

▶ 作家の橋本治はスランプになると必ずこの「ガラスの仮面」を読んで「がんばるのよ。マヤ」と自分に奮起を促したらしい。

演劇は時間軸通りに一本麺で変化変容するから認識や教育にやさしいメソッドなのだけど。過小評価されてるよね。金にならないというそれだけで。

♪PINK「DANCE  AWAY」

ではまた。