映画「害虫」2002年
▶ 監督の塩田明彦はメイキング盤のトークで、昔の「活動屋」や日活ロマンポルノやATGのサブカルチャーのノリで「今はなかなかわかってもらえないんですが、主演の宮﨑あおいの方が害虫なんです」と言っている。
一体どういうことか。参考書を開いてみよう。
シベリアのシャーマン(呪術師)
(中沢新一「イコノソフィア」第四講『動物に変身するシャーマン』より編集して引用)
▶ 呪術師たちは動物の格好をし、動物の鳴き声を真似、動物の姿をとりながら、精神の無意識の下層へと降りたっていく旅をする。
猗窩座(鬼滅の刃)
五条悟の「無下限呪術と六眼」
▶ シャーマンは自ら動物に変身し、動物霊の支配する意識領域に踏み込み、そこで宇宙の秘密に触れて、ふたたびこの世界に帰ってくる。この旅をとおして彼は人々の病を治したり、農作物を豊かにするための超自然的な力を得ると考えられているわけです。
術式と呪具で井戸水を汲み上げる少女
作家のルイス・キャロル
▶ 動物の意識領域は、人間のそれに比べるとずっと流動的で根強いものです。言葉を持った人間よりももっと繊細な感覚領域をつかまえる力を持っているのだから。
CHANEL「EGOISTE」
▶ 人間が人間になるためには、精神の領域で行われる去勢を必要としています。去勢或いは「躾」されない状態にある子供は、かつての社会では手に負えない、とんでもない存在と考えられていた形跡があります。
たとえばアリストテレスは「子供に酒を飲ましてはいけない、子供は火の元素をたっぷり持っているから、火に油を注ぐようなものだ。子供は危険で手に負えない存在なのだ。」と書いています。
子供の成長の段階で行われる去勢・イニシエーション儀礼・躾の中で最も効果を発揮したのが「言葉の能力」にほかなりません。
言葉の習得をとおして、言葉の構造におさまりきらない過剰な欲動が除去される。そうしないと人間は理性的な言葉をしゃべれません。
もちろん去勢はさらに性的な面にもおよびます。あまりに性的に過剰な力を持った存在もまた、社会にとって手に負えない存在だからです。
ジャニー喜多川問題の新聞記事
両面宿儺(呪術廻戦)
▶ しかし、かつての社会にはただ一人だけ、去勢を必要としない人物がいました。王です。王は社会と宇宙の力の源泉として、そのもてる力を去勢されてはならない存在でした。
王は社会の内部にいると同時に、そこにはおさまりきれず、社会の外部にあると考えられた力と繋がりを持ったものとして、パラドキシカルな存在になったのです。
映画「狂い咲きサンダーロード」
虐待死した船戸結愛ちゃんと、結愛ちゃんが残した言葉のメモ
五条悟(呪術廻戦)
中川翔子「ヌイグルマーZ」
パルサー